第21回(2013年12月)
例年、基礎編と応用編に分け、年2回実施しているこのセミナーでは、出猟から解体、料理、食べるまでを体験でき、座学では流し猟の概要・エゾシカ管理の現状と課題・シカ肉の衛生管理について学べる内容になっています。今回の参加者は道内のほかに関東、大阪、高知から11名、そのうち女性が4名でした。
開催の様子
【初日】まずは室内講義から
初日は午後14時集合の後、オリエンテーションを行い、協会事務局長による「流し猟の概要」について講義を受けました。その後、3台のガイド車にハンター1~2名を含む参加者4名が乗り、それぞれの猟場へ向かいました。出猟は、車を走らせシカの探索を行い、発見し次第射手が車から降り発砲する「流し猟」と呼ばれる方法を行っています。西興部村村内を大きく3つに分けた地域にお互いの出猟地域が被らないように廻りました。いちばん近い猟場は、市街から車で3分もかかりません。
いよいよ出猟
この日の積雪は20cm程度、林道に入るとガイド車のピックアップトラックでもやっとのことで進んでいきます。舗装路から林道へ入り、しばらく進んだところの沢の中にメスジカが1頭立っていました。車を静かに停め、ハンターが車から降りシカを狙います。講義で聞いたように「バイタルゾーン」を狙い引き金を引くとシカは勢いよく走りだしだしました。シカが走った方向へ様子を見に行くと足跡の上に血が点々と続いています。どうやら半矢だったようですが、ガイドが足跡や血痕を頼りに捜索し、留め矢を撃ち、無事に回収することが出来ました。回収には、大きなそりとロープを使い、同行者全員で引き出し、車に積み込みました。
解体場で計測・内臓摘出
その後、解体処理場に移動し体重や体高・体長・後足長などの計測を行いました。シカの生息密度が増加することにより体サイズが小さくなることが知られており、計測を行うことにより、個体群の動態を知ることが出来ます。計測の次は、内臓摘出が行われました。胃内容物や毛から汚染が広がるため、毛を切らないように注意することやツボ抜きと呼ばれる肛門を縛った状態での衛生的な内臓摘出方法などを学びました。内臓摘出が終わったシカは吊るした状態で冷蔵庫に置き、翌日の解体実習の際に大バラシ・抜骨を行います。
ホテルへ戻ったのち行った室内講義では、伊吾田宏正氏から狩猟技術について講義があり、モデルガンを用いて射撃姿勢の説明がありました。
ホテルへ戻ったのち行った室内講義では、伊吾田宏正氏から狩猟技術について講義があり、モデルガンを用いて射撃姿勢の説明がありました。
【2日目】出猟・解体・料理
2日目は日の出の10分前にホテルへ集合し、再び出猟実習を行いましたが、捕獲には至りませんでした。その後、鹿牧場公園で実際にシカを観察しながらシカの生態や狙点、距離の目測について学びました。引き続き、解体処理場に移動し、昨日捕獲されたシカの解体(大バラシ・抜骨)を行いました。
その後、「料理実習」を行い、夜の懇親会で試食する、鹿焼肉・カツレツ・ローストの仕込みを行いました。夜は懇親会を行い、料理実習で仕込みを行った料理のほかサロマ湖産カキ・クマ肉の赤ワイン煮などを頂きました。
【3日目】室内講義・モデルガン演習
3日目は協会事務局長から「猟区制度によるエゾシカ地域管理の事例」、松浦友紀子氏から「シカの生態・シカ肉の衛生管理」についての室内講義があり、モデルガンを用いて射撃姿勢の練習を行いました。