西興部村猟区管理協会

第16回(2011年2月)

シカ牧場を見学する参加者
2011年2月18日~20日、第16回西興部村猟区新人ハンターセミナーを開催し、酪農学園大学の伊吾田宏正氏、森林総合研究所北海道支所の松浦友紀子氏、浦幌ヒグマ調査会の浦田剛氏を講師として迎え、4名の参加がありました。本来であれば最低開催人数は5名ですが今回はセミナー当日になっても2名の参加希望者と連絡が取れず、参加者4名での開催になりました。本年度セミナーでは狩猟技術を総合的に学べる2泊3日のコースを、<基礎編>と<応用編>それぞれ1回ずつ開催しました。<応用編>では積雪期における狩猟法について(山スキー・ストーキング猟等)・衛生管理に即した解体および現場での解体、室内講義では流し猟の概要・野生動物の管理・モデルガン演習・狩猟の魅力・忍び猟の魅力・シカ肉の衛生管理について学びました。

第16回新人ハンターセミナー

初日は午後2時半集合の後、オリエンテーションを行い、伊吾田宏正氏から「エゾシカの保護管理の現状と課題」・当協会事務局長からは「猟区制度によるエゾシカ地域管理の事例」・「流し猟の概要」についての座学がありました。その後、モデルガンを用いて射撃姿勢や銃の安全性についてのレクチャーがありました。
    • モデルガンを用いて射撃姿勢を勉強

      モデルガンを用いて射撃姿勢を勉強

    • 室内講義の様子

      室内講義の様子

2日目は午前8時に集合してシカ猟見学実習を行いました。出猟して間もなく道路から120mの切り立った斜面にメスジカと仔ジカ3頭の群れを発見。講師の方が見事に成獣メスジカの捕獲に成功しました。続いて、解体場に移動して計測・衛生的内臓摘出・サンプル採取方法、鹿牧場公園でシカの生態や狙点、距離の目測について学びました。午後は浦田剛氏から忍び猟演習がありました。忍び猟とは「探索、追跡、接近など、射撃前の過程について、獲物(シカ)に気付かれぬよう、従猟者の存在を秘匿しながら行う。シカが人に対して警戒、逃走を催すような近距離においても、静止した無警戒のシカを射撃することが出来る。」※浦田氏より。狩猟方法の一種です。参加者は山スキーを履いて凍結した興部川を渡り、シカの越冬地であるトドマツの林の外周を一列になってシカを捜索しました。その間にも角のとぎ跡や樹皮食いなどのシカの痕跡を捜索しながら進んで行きました。その時、講師の浦田剛氏から「身を伏せろ」との合図。参加者の間に緊張が走ります。浦田氏の指示通り80mほど先の斜面に無心に樹の周りの雪解けから顔を出す、笹を頬張る0歳のシカを発見。参加者全員がモデルガンのスコープにシカを除いた後、確実に捕獲するための接近を試みます。深い雪の中をほふく前進しながら、シカとの距離は50m。参加者がスコープに入れて間もなく、シカは不審な様子に気づいたようで頭を上げあたりを見回し、走り去ってゆきました。この緊張感は確かに流し猟では味わえないものでした。狩猟の奥深さを感じることができる演習になりました。その後、道の駅「花夢」の食肉加工施設に移動して「料理実習」を行い、夜の懇親会で試食する、鹿焼肉、ハンバーグ、餃子の仕込みを行いました。夜は懇親会を行い、本セミナーでは初めてのひき肉料理のほかに焼肉・ローストを頂きました。
    • 剥皮の様子

      剥皮の様子

    • シカ牧場での距離の目測

      シカ牧場での距離の目測

    • 山スキー実習の様子

      山スキー実習の様子

    • ほふく前進で近づきます

      ほふく前進で近づきます

    • 狙いを定めます

      狙いを定めます

    • 狙われた小鹿

      狙われた小鹿

3日目は松浦友紀子氏から「狩猟の魅力」・「シカ肉の衛生管理」、浦田剛氏から「忍び猟の魅力」についての室内講義がありました。その後、意見交換会が行われ、閉会しました。

お願い:私たち西興部村猟区管理協会は常勤職員1名・非常勤職員1名で活動している小さな団体です。今回のように突然のキャンセルということになると、運営および準備等含め小さい団体だけに大きな損害を受けます。私たちも今後このようなことがないよう防衛策を検討しますが、お客様にもご協力していただきたいと思いますので、どうぞよろしく願いたします。