西興部村猟区管理協会

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H23エゾシカエコツアー

 2011年7月29日~31日、H23エゾシカエコツアー~ハンティング見学からジビエ料理試食会まで~を開催しました。
酪農学園大学生命環境学科の伊吾田宏正氏、森林総合研究所北海道支所森林生物研究グループの松浦友紀子氏を特別講師として迎え、11名の参加がありました。今回のツアーの目的は「エゾシカの多様な魅力と、西興部村の雄大な自然を一人でも多くの人に体験していただくこと」でした。鹿肉ジビエ料理、ハンティング見学、鹿皮クラフトに加えて、渓流釣りや乳牛牧場見学など西興部村の自然資源を最大限に活用したプログラムをご用意しました。北海道オホーツクにある西興部は、四季折々様々な魅力を見せてくれます。それぞれの季節に対応したプログラムとエゾシカの魅力を今後とも発信していきたいと思っています。

第1回エゾシカエコツアー

1日目 まずはクラフト体験から

完成品

完成品

 1日目は午後2時半集合の後、スライドを使って西興部村猟区の紹介やシカによる食害について解説した後、タンニンでなめしたシカ革で携帯ストラップを作りました。今回のストラップはひも状に裁断した革を編みこんだデザインでした。出来上がったストラップは参加者の皆さんにお土産としてお持ち帰りいただきました。さっそくご自分の携帯電話につけている方もいて大変喜んでいただきました。

 休憩をはさんで夜7時に集合してナイトアニマルウォッチングを行いました。これは、夜間に牧草地に出没して牧草を食べるシカを主な観察対象として、スポットライトを照らして観察するプログラムです。運が良ければヒグマ・ウサギ・タヌキ・モモンガなどに出会えます。この日はシカのほかにキツネを見ることができました。観察では50頭以上のシカを目撃して、参加者の皆さんは改めてシカの多さに驚いていました。
    • クラフトの説明

      クラフトの説明

    • ストラップ作りに悪戦苦闘してます

      ストラップ作りに悪戦苦闘してます

2日目 エゾシカハンティング

捕獲直後の様子

捕獲直後の様子

 2日目は早朝4時に集合して、今回のメインプログラムであるエゾシカハンティング見学に出かけました。
 日の出から、何頭かのシカは姿を見せてくれましたが、なかなか発砲できるチャンスは与えてくれません。
 日の出時間から40分ほど過ぎた午前5時。牧草を食べている1頭のメスジカを発見。シカから車を隠して停車し、射手はシカに接近します。牧草地の形状からシカからはハンターは見えていません。また、近くには川が流れていて、その流れの音でシカはハンターの気配にも気付かず、夢中に牧草を食べています。50mまで接近して、ハンターは狙いを定めます。この様子は残念ながら参加者の方には見えていません。シカを捕獲するためには、シカになるべく警戒させないことが重要なので車からは射手しか降りることはできません。夜明けの牧草地に、銃声が響きます。思わず参加者から声が上がります。ハンターは近づいてシカを確認するとシカは倒れています。参加者は車から降りシカに近づきシカを見つめています。今まであった命が失われた瞬間に参加者からはなかなか声が出ません。
 シカを大型のそりに載せ、車まで参加者が引っ張り命の重さを感じます。回収を済ませ、村内の解体施設に移動して、内臓摘出を行い冷蔵しました。その後朝食を済ませ、休憩の後、解体を行いました。参加も実際にナイフを持って解体を体験しました。
    • 捕獲の状況の解説

      捕獲の状況の解説

    • 回収の様子

      回収の様子

林道ツアー&渓流釣り
釣り上げられたヤマベとニジマス

釣り上げられたヤマベとニジマス

 その後、ヒグマも生息する林道の散策を行い、ヒグマの糞の観察やヒグマが食べる植物についての解説を行いました。お昼からは清流興部川で渓流釣りを行いました。ほとんどの参加者がヤマベを釣ることができて、釣った魚は夕食でてんぷらとして振る舞われました。

 
    • クマの食痕を観察

      クマの食痕を観察

    • クマがフキを食べた跡

      クマがフキを食べた跡

室内講義・ジビエ料理教室
 室内で、特別講師の酪農学園大学生命環境学科の伊吾田宏正氏と森林総合研究所北海道支所森林生物研究グループの松浦友紀子氏からエゾシカを取り巻く現状やシカ肉の魅力などのお話をしていただきました。

 ジビエ料理実習では本日の夕食のバーベキュー三種(コリアン・エスニック・アメリカンのソース)やシカ肉の柔らかスモークの仕込みを行いました。夕食のメニューは仕込んだ料理のほかにシカ肉ソーセージのホットドック・カラフトマスのチャンチャン焼き・バターたっぷりのジャガイモのホイル焼き・焼きトウモロコシなどでした。隣のバーベキューサイトは知人の方で、毛ガニやホッケを差し入れしてくれました。北海道三昧の夕食になりました。飲み物はビールのほかシカ肉やバーベキューに合うようなワインも用意されて、賑やかなジビエ試食会になりました。

3日目 放牧農場見学・氷のトンネル一日開放

乳牛牧場の見学

乳牛牧場の見学

 最終日は北海道でも数少ない、昔ながらの放牧で乳牛を育てている「萩原牧場」を見学させてもらいました。
 その後、普段は村のインストラクターが同行していなければ立ち入ることのできない、「氷のトンネル」の1日解放を見学しました。「氷のトンネル」とは冬の間に積もった雪が、雪崩を繰り返して沢に高く積もり、その雪の中を雪解けとともに、沢に水が流れて、その流れが「氷のトンネル」を作る現象で、それはまさに自然の造形美です。真夏でもトンネル付近は14℃程度で、参加者は自然のクーラーに心地よさを感じていました。これで全てのプログラムを完了したと言いたいところだったのですが、シカ観光牧場見学では、気温が数日間高かったせいか、シカは林の中に入り込み観察場所には姿を見せてくれませんでした。それでも、参加者の方には「また参加したい」などの感想を頂き、満足いただけたご様子で、我々も本当に安心することができました。

 2泊3日の「エゾシカエコツアー」を無事に終了することができました。今回のツアーの様子は、テレビでも放送され、放送を見た方から問い合わせがあり「ぜひ中学2年生の息子と参加したい」という声を頂きました。初めての試みということもあり、反省点は多々ありますが、今後も、それぞれの季節に対応したプログラムとエゾシカの魅力を発信していきたいと思っていますのでよろしくお願いします。
    • 氷のトンネル 

      氷のトンネル 涼しそうです

    • 氷のトンネル見学

      氷のトンネル見学