R1マタギサミット参加報告
伝統的なマタギの衣装を身に着けた地元の有志の方々
令和元年6月22日~23日に開催された第30回「ブナ林と狩人の会:マタギサミットin北秋田」に参加してきました。
マタギサミットは平成2年以降、毎年1回開催されている広域的山村交流会議です。狩猟文化(マタギ文化)を基礎に中山間地域の生活文化の継承と発展を目指し、自然環境の変化や過疎化などの諸問題を抱える中山間地域の生活者が、情報交換や交流を通じて未来を自らの手で開いていくことを目的としています。また、狩猟においては21世紀型の自然と人間の関係の再構築、狩猟後継者の人材発掘と育成を目指します。
(マタギサミット資料より)
今年の開催地は、マタギの里として知られる秋田県北秋田市阿仁町です。
第30回「ブナ林と狩人の会:マタギサミットin北秋田」開催の様子
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開会です
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テーマ1:パネルディスカッション「移住者がマタギを継ぐとき Vol.2」
近年、銃を持って狩猟に参加する女性ハンターの数が増加しています。しかし、地域によっては女性ハンターが満足に活躍できていない環境の猟場も見受けられ、それにはマタギ文化がもともと女人禁制とされていた歴史が背景にあります。そこで、女性ハンターとして実際に活躍されている方々を中心にパネラーとして迎え、女性ハンターの普及とともに伝統をいかに引き継いでいくかパネルディスカッションを行いました。
コーディネイター:田口洋美氏、小松武志氏
パネラー:蛯原紘子氏、原薫氏、鈴木奈津子氏、木村望氏
コーディネイター:田口洋美氏、小松武志氏
パネラー:蛯原紘子氏、原薫氏、鈴木奈津子氏、木村望氏
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パネルディスカッションの様子
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始めに各4人から狩猟を始めたきっかけや、猟友会やグループで猟を行った際の様子が説明されました。それぞれ、初めて猟場に行った際女性だからと敬遠された話や、猟に参加するうちに受け入れられるようになったエピソードが語られました。他にも、女性だからと気遣われるときに悔しさを感じる、今はハンター自体の数が減少しているために受け入れられやすい環境になったのではないかといった話もあがりました。また、今後女性が狩猟に参入しやすくなるにはどうすればよいか、不安などについては、技術不足、男性より劣る体力や筋力をどこで補うかといった課題や、女性ハンターであることに不安が無いが、技術だけでなく自然との向き合い方の思想を受け継ぐことのできる環境づくりが必要との意見も出ました。
また、コーディネイターの小松氏から、「男女関係なく能力が役立つ場面があり、猟友会はそれを生かせる可能性を内包している。4人が担いたい役割とは何か?」という問いかけに対しては、それぞれ獲物の発見や場所を知らせる、猟に限らず山の恵みを自然の一部と考えて利用できる思想を広めること、技術を磨くことなどの発言がありました。
また、コーディネイターの小松氏から、「男女関係なく能力が役立つ場面があり、猟友会はそれを生かせる可能性を内包している。4人が担いたい役割とは何か?」という問いかけに対しては、それぞれ獲物の発見や場所を知らせる、猟に限らず山の恵みを自然の一部と考えて利用できる思想を広めること、技術を磨くことなどの発言がありました。
テーマ2:パネルディスカッション「犬の放し飼い特区を考える」
田口洋美氏より犬の放し飼い特区について話があり、現状誘い込み猟となっている駆除活動から一歩進んだ緩衝帯を作るべく、訓練された犬を山に放つことで野生動物の生息地拡大への対抗圧とする構想が語られ、パネラーの間で議論されました。当協会の中原会長も登壇し、パネラーとして意見を述べました。ディスカッションでは訓練にかかるコストや危険性などが議論されました。
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構想について説明を行う田口洋美氏
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意見を述べる中原会長
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プログラム終了後、「ブナ林と狩人の会:マタギサミット」の30回目を記念して、西興部村猟区にてツアーイベントを行うことが発表され、当協会の伊吾田事務局長が登壇して猟区の説明を行いました。
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西興部村猟区の説明をする伊吾田事務局長
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皆さん、興味津々です
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講演後の懇親会では、若者と先輩マタギがバラバラに着席して、狩猟文化について熱く語り合いました。
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懇親会で披露された国の重要無形民俗文化財「根子番楽」
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