H26マタギサミット参加報告
第25回『「ブナ林と狩人の会:マタギサミット」in遠刈田』開催の様子
開催地の宮城県をはじめ、秋田、山形、長野、新潟など各地域の狩猟者、研究者、学生などが集まり、『大型獣から地方都市を守るために-現場報告:狩猟および駆除の現状と対策を中心に-』というテーマのもと4名から事例発表がありました。
今年のテーマ
『大型獣から地方都市を守るために 現場報告:狩猟および駆除の現状と対策を中心に』
「山形県小国町金目のクマ狩り」
草刈広一(山形県小国町猟友会)
「兵庫県但馬地域における捕獲体制構築に向けた支援策」上田剛平(兵庫県但馬県民局朝来農林振興事務所)
「北海道のアーバンディア&ベアー事情」伊吾田宏正(酪農学園大学狩猟管理学研究室)
「アーバンワイルドライフ研究報告」田口洋美(東北芸術工科大学)
「山形県小国町金目のクマ狩り」
4月10日から5月の連休までの約1か月間で行われ、猟場となる朝日山地南部は、豪雪地帯であり雪崩地形が発達しています。目視でクマの位置を確認してからブッパ(撃ち手)とセコ(追い出し役)に分かれ、セコがクマのいる場所を取り囲むように歩き、撃ち手の方へ追い出す「巻狩り」という方法で猟を行います。捕獲したクマは、その場で皮をむき「せんびきともびき」と呼ばれる魂を山に送る儀式を行った後に解体し、山を下ります。獲ったクマは、みんなで平等に分けるそうです。
草刈氏から一通りクマ狩りの方法や使われている用語の説明が終わったのち、今回参加していた金目班によるクマ狩りの一部始終の実演がありました。写真と図を用いて状況の説明を行い、実際に現場で行われる会話を再現していました。
「兵庫県但馬地域における捕獲体制構築に向けた支援策」
「兵庫県但馬地域における捕獲体制構築に向けた支援策」では、兵庫県但馬県民局朝来農林振興事務所の上田剛平氏から狩猟者減少時代を乗り切るための施策として行っている事例の紹介がありました。施策として①狩猟者1人当たりの捕獲数の増加と②活躍できる狩猟後継者の育成③捕獲活動の公共事業化を挙げ、具体的には、座学から実猟まで幅広い知識と技術を有し自分で考え行動できる狩猟者の育成を図る「鳥獣対策マイスター養成スクール」などの説明がありました。
「北海道のアーバンディア&ベアー事情」
「北海道のアーバンディア&ベアー事情」では、酪農学園大学狩猟管理学研究室の伊吾田宏正氏から北海道のエゾシカ・ヒグマの人的被害の状況やそれに対する対策について、先進地であるイギリスの管理体制についてなどが紹介されました。
「アーバンワイルドライフ研究報告」
「アーバンワイルドライフ研究報告」では、東北芸術工科大学の田口洋美氏から富山県で起きた住宅地に進出したクマの対策事例について紹介があり、なぜ野生動物の都市への進出が起こるのか、移り変わる時代により野生動物の生息状況が変化しその変化にどのように適応するかなど新しいマタギ像を考えていく必要があると示していました。
次回の開催地は東京を予定しています。
次回の開催地は東京を予定しています。