野生生物保護学会若手部会研修会(2007年5月)
「エゾシカとの共存を考える 西興部村猟区の取り組み」
初日は14時に集合・ガイダンスの後、早速エゾシカ学術捕獲を見学しました。メス成獣1頭の捕獲に成功し、繁殖学的資料を採取しました。この個体を用いて、村内の鹿肉処理施設をお借りして衛生的な内臓摘出の技術講習を行いました。夜にはライトセンサス調査のデモを行い、雪解け時の牧草地に集まるエゾシカの個体数指数調査を実施し、エゾユキウサギなども観察しました。
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回収風景
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体サイズの計測
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2日目は前日に捕獲したシカを用いて、狩猟資源としての解体実習を行いました。その後、山菜採り実習として、タランボを探しましたが、今年は春が遅く、まだ芽吹いていませんでした。その後、牧草地に生えるノワサビ(セイヨウワサビ)を採りましたが、そこでは運良くヒグマを目撃することができました。午後からは事前に狩猟で捕獲されたシカ肉を用いて、料理実習を行い、村内バーベキューハウスで試食兼懇親会を行いました。もちろんノワサビが鹿肉に抜群の相性でした。
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剥皮の様子
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鹿肉バーベキュー
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3日目は午前中に村内の森林公園において森林ウォークを満喫し、北方針広混交林の植生を観察しました。午後は西興部公民館で公開ミニシンポジウム「野生動物との共存戦略としての狩猟を考える」を開催しました。まず企画代表者の上田剛平氏(兵庫県)が日本の狩猟の実態を概観し、特に島根県と栃木県のイノシシ管理の面から、今現在狩猟に何が起きているかを明らかにしました.次に鈴木正嗣教授により,エゾシカ保護管理計画の背景,経緯,現状の問題点などについてご講演頂きました。次に西興部村村長の高畑秀美氏からは、猟区開設に至った社会的背景、猟区が地域社会に与えた影響についてご講演頂き、そして酪農学園大学の伊吾田宏正氏により、西興部村周辺地域のエゾシカの管理に猟区がどう影響を与えたのか、様々な猟区の事業が日本の狩猟にどう影響を与えたのかについてご講演頂きました。これらの講演を通して、西興部村が生きていくために取った「猟区」という戦略を様々な角度から議論しました。
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森林ウォーク
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誰がクルミを食べたのでしょう
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公開ミニシンポジウムの様子
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公開ミニシンポジウムの様子
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最終日は、ワークショップとして、当猟区の伊吾田順平より狩猟者になるための諸手続きについてレクチャーがあった後、将来の日本の狩猟および野生動物管理の在り方について情報交換を行い、正午にプログラムを終了しました。
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ハンターへの道
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フリーディスカッションの様子
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