2015年1月30日~2月1日に、【西興部ハンティングスクール】第24回西興部村猟区新人ハンターセミナー<応用編>を開催し、酪農学園大学の伊吾田宏正氏、森林総合研究所北海道支所の松浦友紀子氏、浦幌ヒグマ調査会の浦田剛氏を講師として迎え、10名の参加がありました。参加者のうち5名がハンター(銃持参)での参加でした。
例年、基礎編と応用編に分け、年2回実施しているこのセミナーでは、出猟から解体、座学では流し猟・忍び猟の概要、エゾシカ管理の現状と課題、シカ肉の衛生管理などについて講義があり、座学や実習を通して総合的な狩猟技術を学べます。今回の参加者は道内のほかに関東、大分からの参加でした。
ギャラリー
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初日は午後14時に集合し、オリエンテーションを行った後、今年度から新たに設置された村内の射撃場で射撃実習を行いました。今回の銃所持での参加者は5名で、2射座50mを交代で利用しました。
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今回の参加者は、全員銃を所持している方だったので、熱心に説明を聞いていました。
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約1時間半の射撃実習を終え、ホテルに戻り室内講義を行いました。最初に伊吾田事務局長による「流し猟の概要」について、
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続いて浦田氏による「忍び猟の魅力」、
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最後に松浦氏による「シカ肉の衛生管理」について講義を受け、翌日の出猟や解体に備えました。
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2日目は、シカ牧場で距離の目測と狙点の確認を行った後、3台のガイド車にハンター1~2名を含む参加者3名が乗り、それぞれの猟場へ向かいました。出猟は、車を走らせシカの探索を行い、発見し次第射手が車から降り発砲する「流し猟」と呼ばれる方法を行っています。積雪期はエゾシカ狩猟のために開けられた3路線の林道を除き、林道が雪で閉ざされてしまうため限られた範囲の搜索となります。エゾシカ狩猟のために開けられた林道で、1頭捕獲に至りました。
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シカ牧場で距離の目測と狙点の確認
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11時に解体場へ集合し、捕獲したシカの体重や体高・体長・後足長などの計測から内臓摘出、剥皮、大バラシ、抜骨を行いました。
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胃内容物や毛から汚染が広がるため、毛を切らないように注意することや食道と直腸を縛った状態で内臓摘出を行うなど衛生的な解体方法を学びました。
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抜骨の様子
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歯の齢査定について
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午後は山スキーを履いて忍び猟を行いました。忍び猟とは、痕跡などを頼りに忍んでシカに接近し、捕獲する猟法で、ストーキング(stalking)猟とも呼ばれています。車で広範囲を探索する流し猟に対し、徒歩でシカに気づかれないように探すのが特徴です。
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歩き始めてすぐに数頭のシカを発見しましたが、距離が遠く、すぐに走り始めたため、距離を詰めることが出来ませんでした。
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今回は2班に分かれ、銃を持参していない参加者の方もモデルガンを背負い、林内を探索しました。参加者の方々は、慣れない山スキーに苦戦しながらも会長のクマ撃ちの話などを聞きながら忍び猟の魅力である自然との一体感を楽しんでいた様子でした。
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山スキーで歩いていると、頭上にクマタカが現れました。
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山スキーでからだを動かした後は、「料理実習」を行い、夜の懇親会で試食する、鹿焼肉・ハンバーグ・ローストの仕込みを行いました。夜は懇親会を行い、親睦を深めました。
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ローストディア
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3日目は、伊吾田宏正氏による「エゾシカの保護管理の現状と課題」について、伊吾田事務局長から「猟区制度によるエゾシカ地域管理の事例」についての室内講義があり、最後にフリーディスカッションとアンケートの記入を行い、終了しました。
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フリーディスカッションの様子